Lilly's Mumlog

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出産&入院レポート④。赤ちゃんの黄疸

今回は、黄疸(おうだん)についてのお話です。

新生児黄疸とは?何が問題?

黄疸とは、ビリルビンという成分によって皮膚や白眼が通常よりも黄色くなる状態のことを言います。生まれたての赤ちゃんは生理現象として本来的に黄疸が出やすく、このような新生児の黄疸を特に新生児黄疸と呼びます。

赤ちゃんの身体は生まれると間もなく、血液中の不要となったヘモグロビンを一気に破壊し始めます。この時にビリルビンが生成されます。

このビリルビン、通常ならば肝臓で分解されて排泄されるのですが、新生児は肝機能がまだ十分に発達していないため、処理が追いつかなくなるのです。すると、分解されていないビリルビンが血液中に残った状態になり、これにより黄色いビリルビンの色が皮膚や白眼に出てきてしまうのです。

 

ただ、ビリルビンそのものが身体に悪さをするわけではないため、黄疸が出ること自体は問題ないのです。

 

しかし、では放っておいたら良いのかというと、必ずしもそうとは言えません。

ビリルビン血中濃度が上がると、ビリルビンが血液から脳へ入って沈着し、核を形成して神経を圧迫するおそれがあるのです。これは核黄疸と呼ばれ、神経障害をはじめとする重篤な症状を引き起こしかねません。

 

新生児黄疸の治療方法

血中ビリルビン濃度の値は、血液検査で測ることができるほか、専用の測定器によっても測ることができます。

ビリルビン濃度には基準値が設定されていて、その値を超えると治療を行うことになります。

 

産後、入院中は毎日、赤ちゃんは体温と合わせてこのビリルビン濃度も測定されます。通常の健診では侵襲性の低い測定器での測定がなされ、それで基準値を超えると光線治療の要否の判断のため採血によってより厳密に数値を測るようです。

 

※血清総ビリルビン濃度による光線療法,交換輸血の適応基準

(単位 mg/dl)(神戸大学小児科,1993 6 ) より)

出生体重

< 24 時間

< 48 時間

< 72 時間

< 96 時間

< 120 時間

>5日

光線 / 交輸

光線 / 交輸

光線 / 交輸

光線 / 交輸

光線 / 交輸

光線 / 交輸

< 1,000g

5/8

6/10

6/12

8/12

8/15

10/15

< 1,500g

6/10

8/12

8/15

10/15

10/18

12/18

< 2,500g

8/10

10/15

12/18

15/20

15/20

15/20

≧ 2,500g

10/12

12/18

15/20

18/22

18/25

18/25

「〔日常臨床で遭遇したら〕新生児黄疸への対応」より引用

この基準は、核黄疸の早期発見・予防のためにかなり低めに設定されているようです。

関東労災病院も、これと同じか、似たような基準で判断されていたと思います。

 

基準値を一定程度上回ると、まず「光線療法」が行われます。ビリルビン分解を促す光を赤ちゃんに照射するものです。赤ちゃんの新生児黄疸の場合、強い光の出るケースに赤ちゃんを入れ、まとまった時間その中で過ごさせます。この際、光の照射効率を上げるために赤ちゃんはオムツ1枚の状態になり、また目を保護するためにマスクテープを貼られます。

 

Kのビリルビン濃度の値の推移と入院

そんな新生児黄疸ですが、Kも基準値に引っかかってしまって。

引用した光線療法の基準値(赤ちゃんの体重が2500g以上)とKのビリルビン濃度を表にしてみました。

日齢 0 1 2 3 4 5 6 7 8
基準値 10 10 12 15 18 18 18 18 18
Kの値 N/A 7.2 14.0 11.3 14.6 16.6 16.7 12.0 12.4

赤字の日が光線治療を行った日です。

まず1回目が2day。1dayの時点で少し高めだった値が翌日2dayで2倍近くにぐっと上がっています。この日の正午頃、医師から説明があり、上述の新生児黄疸についての説明を受け、光線治療のためにKを入院させることになりました。入院といっても同じ病棟のナースステーション横にいるだけですが。

上述の通り、新生児黄疸自体は悪いことではなく、むしろ赤ちゃんの身体がママのお腹の外の世界に適応しようと頑張っている証とすら言えるのです。ですが、核黄疸のリスクも聞くと本当に心配で、また生後間もなくKと離れて過ごすことになる辛さもあり、説明中や個室に戻ってからも、思わず泣いてしまいました。

この時の光線治療は24時間でした。この間、Kをなるべく長い時間照射ケースに入れておく必要があるため、面会は最小限、3時間おきの授乳の度に30分でした。

 

翌朝3dayのビリルビン濃度は11.3と下がり安心したのも束の間。

そのまた翌日からは再びビリルビン濃度が上昇し続け、減少傾向がみられませんでした。そこで、私の退院日である5dayは、Kは引き続き病院にとどまり経過観察、そしてその翌日6day更に少し上昇したので、基準値よりは低いですが念のため光線をあてておきましょうと、Kは2回目の光線治療のため再入院することとなりました。

この時は1回目よりも長い30時間。生まれたての可愛いKと更に離れて過ごすことは、一層不安で辛いものでした。経過観察の5day、そして再入院となった6day、7dayと、毎日午前10時半頃〜日中の面会可能時間(〜18:00)の間、授乳のために何度も通院しました。

7dayの測定値は治療の甲斐あって再び大きく減少、そして経過観察を経た8dayの朝の測定でも大きな上昇は見られなかったため、ようやく晴れてKも退院となったのでした。

 

Kの黄疸のその後

数値は下がったとはいえ、相変わらず肌も白目も黄色いK。退院後も心配しながら様子を見ていました。

上は退院時の写真。ベビードレスの白が黄色い肌を一層際立ててしまった。

1ヶ月健診の時点でもまだ黄色かったのですが、測定されたビリルビン濃度は10。生後1ヶ月の赤ちゃんの基準値は確か20くらいなので、問題はありませんでした。

 

通常は生後2〜3日がピークで、その後1週間くらいで白くなると言われていますが、Kの黄色味が抜けたのは、結局3〜4ヶ月の頃!

結構時間がかかったように感じます。でも、周りにも聞くと、黄疸で引っかかる赤ちゃん、そして黄疸が長引く赤ちゃん結構多いそう。

そんなに心配しなくても良かったのかな。過ぎた今だから言えるのだけど。